進め方DXレベル 3

業務システムは、
作る前に選ぶ

2026.10.19

「うちの仕事は特殊だから、専用のシステムを作らないと」。業務システムの話になると、そう考えたくなるものです。たしかに、会社ごとに仕事のやり方は違います。けれども、受注、在庫、請求、顧客の管理といった仕事の骨組みは、業種が違っても似ている部分があります。ゼロから作る前に、すでにある仕組みから選べないかを考える。その順番で検討するだけで、時間も費用も、導入した後の苦労も変わってきます。

選択肢は「作る」だけではない

業務システムを手に入れる方法は、大きく分けて3つあります。

| 方法 | 向いている場面 | 気をつけたい点 | |---|---|---| | 既にある仕組みをそのまま使う | 仕事の流れが一般的で、早く始めたい | 自社のやり方を仕組みに合わせる必要がある | | 既にある仕組みを手直しして使う | 骨組みは合うが、一部だけ自社に合わない | 手直しの範囲を広げすぎない | | 新しく作る | 他にない仕事の流れが、会社の強みになっている | 時間と費用がかかり、直すのにも手間がかかる |

最初に「新しく作る」を思い浮かべる方は多いのですが、1つ目か2つ目で足りる場合もあります。どれを選ぶかは、仕事のどこが自社ならではなのかで決まります。

「自社ならでは」はどこにあるか

たとえば、部品を加工して納めている会社なら、見積もりの出し方には長年のノウハウがあるかもしれません。一方で、受注の記録や請求書の発行は、他の会社とそれほど変わらないはずです。

  • 他社と同じ部分:既にある仕組みに合わせて、やり方を揃える
  • 自社ならではの部分:手直しや、新しく作ることを考える

この切り分けをせずに全部を作ろうとすると、他社と同じ部分にまで時間と費用をかけることになります。切り分けてみると、自社ならではの部分が思ったより小さいと分かることもあります。

選ぶ前に書き出す3つのリスト

仕組みを探す前に、やりたいことを紙に書き出しておきます。書くのは次の3つのリストです。

  1. 無いと困ること:これが無いと仕事が回らない機能
  2. あると助かること:無くても回るが、あれば手間が減る機能
  3. 今はいらないこと:便利そうだが、今の会社には不要な機能

ポイントは、3つ目のリストを必ず作ることです。仕組みを見比べていると、多機能なものほど良く見えてきます。けれども、使わない機能が多いほど、画面は複雑になり、社員が覚えることも増えます。「今はいらない」と決めておくことで、自社に合った大きさの仕組みを選びやすくなります。

書くときは、機能の名前ではなく、「誰が、いつ、何をするか」で書くと伝わりやすくなります。「在庫管理機能」と書くより、「倉庫の担当が、出荷のたびに残りの数をその場で確かめる」と書くほうが、選ぶときの判断に使えます。

選ぶときに見ておきたいこと

候補が見つかったら、機能の多さだけでなく、次の点を確かめましょう。

  • 使う人に合っているか:実際に使う社員が、説明なしで画面を見て分かるか
  • データを出し入れできるか:今の表計算のデータを入れられるか、やめるときに取り出せるか
  • 他の道具とつながるか:会計や予約など、今使っているものと情報をやりとりできるか
  • 困ったときに聞ける相手がいるか:使い方の質問や不具合に、誰が答えてくれるか
  • かかる費用の全体はいくらか:始めるときの費用だけでなく、毎月の費用や人の手間も含めて見る

特に見落としやすいのが、データを取り出せるかどうかです。仕組みは、会社の成長に合わせて乗り換えることもあります。そのときに、たまったデータを持ち出せないと、また一から入力し直すことになります。

候補の提供元に話を聞く機会があれば、次のように尋ねてみてください。

  • うちと同じくらいの人数の会社は、どの機能から使い始めることが多いか
  • 「無いと困ること」のリストのうち、そのままでは足りない所はどこか
  • 手直しが必要な場合、誰が、どこまで対応できるか
  • やめるとき、データはどんな形で受け取れるか

答えがはっきりしない項目は、決める前にもう一度確かめましょう。

入れる情報がそろっているか

もう一つ大事なのは、仕組みに入れる顧客や商品の一覧がそろっているかです。同じお客様が表ごとに違う名前で載っている、商品の一覧が担当者ごとに別にある。こうした状態のままだと、どの仕組みを選んでも、最初の入力でつまずきます。TaskMate の7段階では3段目の「見える化社長」にあたる状態で、ここまで整っていると仕組みを選びやすくなります。

決める前に、使う人に触ってもらう

候補が二つ三つに絞れたら、決める前に、使う人に触ってもらいます。比べるときは、次の順で進めると判断しやすくなります。

  1. 実際に使う社員を一人か二人選ぶ
  2. 先月の実際の受注や請求を何件か、候補の仕組みに入れてもらう
  3. 使った社員に「迷った所」「楽になった所」「前より面倒な所」を聞く
  4. 3つのリストと照らし合わせて、合うかどうかを決める

架空のデータではなく、実際にあった仕事で試すのがこつです。社長が画面を見て良いと思っても、毎日使う社員が迷うなら、その仕組みは定着しにくくなります。

合わない所は「やり方を合わせる」も選択肢

試してみると、自社のやり方と合わない所がたいてい出てきます。すぐに仕組みを直そうとする前に、その手順が本当に今のやり方でないといけないのかを考えてみてください。昔からそうしているだけ、という手順もあります。仕組みに合わせてやり方を変えると、かえって仕事がすっきりすることもあります。もちろん、お客様との約束や会社の強みにつながる部分は、無理に変える必要はありません。「変えてよい手順」と「変えてはいけない手順」を分けて考えましょう。

それでも作るべきとき

選ぶことを優先しても、新しく作ったほうがよい場面はあります。

  • 自社ならではの仕事の流れが、そのまま売上や評価につながっている
  • 既にある仕組みでは、どう手直ししても「無いと困ること」が満たせない
  • 複数の仕組みをつなぐと、かえって社員の手間が増える

こうした場合は、作る範囲を小さく決めて、自社ならではの部分だけを作るのが基本です。大きなシステムを一度に作るより、小さく作って使いながら広げるほうが、途中で方向を直しやすくなります。

今日からできること

今、表計算やノートで管理している仕事を一つ選び、「無いと困ること」「あると助かること」「今はいらないこと」の3つのリストを書いてみてください。思いつくだけで構いません。リストがあるだけで、仕組みを探すときにも、誰かに相談するときにも、話が一気に具体的になります。

まとめ

  • 業務システムは「使う・手直しする・作る」の3つから考える
  • 自社ならではの部分と、他社と同じ部分を切り分ける
  • 選ぶ前に、3つのリストを書き出す
  • データの出し入れや費用の全体まで見て、実際の仕事で試して選ぶ
  • 作るのは、自社ならではの部分を小さく

TaskMate には400以上のシステム制作実績があり、その中から会社に合うものを選んで使うこともできます。選ぶか作るかで迷っている段階からでも、面談で一緒に整理できます。今の管理のしかたを、まずはDXレベルを相談するからお聞かせください。

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