仕組みづくりDXレベル 2

紙とファイルがバラバラな会社の情報整理

2026.10.19

見積書は営業の机の引き出しに、図面は設計担当のパソコンに、現場の写真は誰かのスマートフォンに。記録は残しているのに、いざ必要になると見つからない、という経験はないでしょうか。情報が「ない」のではなく「どこにあるか分からない」状態は、DXの入り口にあたります。この記事では、紙とファイルがバラバラになっている会社が、情報を整理していくための手順をまとめました。

情報がバラバラになるのは、ルールがないから

情報が散らばるのは、社員がだらしないからではありません。まず疑いたいのは、「どこに、どんな名前で置くか」というルールが決まっていないことです。

ルールがないと、一人ひとりが自分にとって便利な場所に保存します。ある人はデスクトップに、ある人はメールに添付したまま、ある人は印刷して紙のファイルに。それぞれの人にとっては筋の通ったやり方でも、会社全体で見るとバラバラになります。

さらに、ファイルを人に送るたびに複製が生まれます。「見積書_修正」「見積書_修正2」「見積書_最新」のように、似た名前のファイルが増えていき、どれが本当に最後のものか誰にも分からなくなります。

ですから、整理の第一歩は片付けではなく、ルールづくりです。ルールなしで一度片付けても、しばらくすると元に戻ってしまいます。

まず、自社の情報の種類を洗い出す

ルールを決める前に、会社にどんな種類の情報があるかを書き出します。たとえば、次のような分け方が考えられます。

  • お客様に関するもの:見積書、契約書、やり取りの記録、名刺
  • 案件・仕事に関するもの:図面、仕様書、現場の写真、作業の記録
  • お金に関するもの:請求書、領収書、支払いの記録
  • 社内のもの:手順書、規程、社員の情報、会議のメモ

業種によって分け方は変わります。大事なのは、社員が「この書類はここ」と迷わずに判断できる分け方にすることです。分類が細かすぎると、かえって迷いが増えます。最初は大きめの分け方で始め、使いながら調整していきましょう。

置き場所と名前の付け方を決める

情報の種類が見えたら、具体的なルールを決めます。

置き場所は一か所に

ファイルの置き場所は、社員全員がアクセスできる共有の場所に一本化します。インターネット上の保存サービス(クラウドストレージ)を使えば、事務所の外からでも同じ場所を開けます。個人のパソコンやメールの添付は、あくまで一時的な置き場と考えます。

フォルダの階層は、深くしすぎないのがコツです。たとえば「お客様名」→「案件名」→「書類」くらいの深さにとどめると、迷わずにたどり着けます。

あわせて、各フォルダの一番上に「このフォルダに何を入れるか」を短く書いたメモを置いておくと、新しく入った人でも迷いません。フォルダの名前だけでは、人によって受け取り方が違うことがあるからです。たとえば「資料」というフォルダには、何でも入れてよいように見えてしまいます。入れるものと入れないものを一言添えておくと、置き間違いを防ぎやすくなります。

名前の付け方をそろえる

ファイル名は、並べたときに探しやすい形にそろえます。おすすめは、日付・相手・書類の種類の順に並べる形です。

  • 例:「20261015_取引先名_見積書」
  • 例:「20261020_取引先名_現場写真」

日付を先頭に、年・月・日の順で数字を並べると、名前順に並べたときに古い順・新しい順にきれいにそろいます。「最新」「修正」といった言葉は使わず、日付で新旧を見分けるようにすると、複製の混乱が減ります。

決めたルールは、1枚の紙にまとめて、社員の目に入る場所に貼っておきましょう。

誰が何を見られるかも決めておく

置き場所を一つにまとめると、今度は「全員が全部を見られてよいのか」という問題が出てきます。お客様の資料は誰が見てもかまわなくても、社員の給与や個人の情報、まだ公にしていない取引の条件などは、見られる人を限っておくべきです。

共有の場所を作るときは、フォルダごとに見られる人を決めておきます。

  • 全員が見られるフォルダ:手順書、案件の資料、お客様とのやり取り
  • 担当者と社長だけが見られるフォルダ:お金に関するもの、契約の条件
  • 社長と限られた人だけが見られるフォルダ:社員の情報、人事に関するもの

また、社外の人とファイルをやり取りするときは、ファイルそのものを送るのではなく、共有の場所のリンクを渡す方法も検討してみてください。ファイルを送るたびに複製が増える、という問題を減らせます。ただし、リンクの設定には注意が必要です。「リンクを知っている人なら誰でも開ける」設定にすると、リンクが転送されたときに、知らない人まで開けてしまいます。社外の人には相手を指定して共有し、やり取りが終わったら共有を外しましょう。

紙の書類をどう扱うか

紙の書類は、全部をすぐにデータにする必要はありません。次のように分けて考えると、無理がありません。

  1. これから受け取る紙:受け取ったらその日のうちにスキャンし、決めた場所に保存する
  2. よく見返す過去の紙:使う頻度の高いものから、少しずつスキャンする
  3. ほとんど見返さない紙:保管場所と中身の一覧だけを作り、紙のまま置いておく

社内で見返すためのスキャンなら、スマートフォンのカメラで読み取るアプリでも十分です。複合機にスキャン機能があれば、それを使うのもよいでしょう。

なお、請求書や領収書などの取引に関する書類を紙からデータに切り替えて保存する場合は、法令で保存の方法が定められていることがあります。詳しい要件は、国税庁などの公式情報で確認してから進めてください。

移し替えは「これから」の分から始める

ルールが決まったら、いよいよ情報を移していきます。ここで、過去のファイルを全部整理しようとすると、膨大な作業になって止まってしまいます。

おすすめは、次の順番です。

  1. 今日から作るファイル、受け取る書類を、新しいルールで保存する
  2. 今動いている案件のファイルを、新しい置き場所に移す
  3. 過去のファイルは、必要になったときに見つけたものから移す

古い情報は、使うときに整理すれば十分です。新しいルールで保存されたファイルが増えていけば、探しやすい状態の範囲も少しずつ広がっていきます。

もう一つ大事なのは、ルールを守れているかを、最初のうちだけ見てあげることです。月に一度、共有の場所をのぞいて、ルールから外れたファイルがあれば声をかける。それだけで、ルールが社内に根づきやすくなります。

まとめ

  • 情報がバラバラになる原因は、置き方と名前のルールがないこと
  • まず情報の種類を大きめに分け、社員が迷わない分類を作る
  • 置き場所は共有の一か所に、名前は日付・相手・種類の順にそろえる
  • 紙は、これから受け取る分・よく見る分・ほとんど見ない分で扱いを変える
  • 移し替えは「これから」の分から始め、過去の分は必要なときに

現状を測る簡単な方法として、社員に「先月作った見積書を一つ探してみて」と頼み、見つかるまでの時間と、どこにあったかを聞いてみてください。それが、今の自社の整理の具合を知る一番の手がかりになります。

TaskMateでは、DXレベル2「バラバラ社長」の状態から、情報の置き場所やルールづくりを作業も含めて一緒に進めます。何から片付ければよいか迷っている方は、DXレベルを相談するからご相談ください。

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