AI活用DXレベル 7

社員とAIで、
運用と改善が回る会社へ

2026.10.19

AIを使い始めると、次に気になるのは「この仕組みは誰が面倒を見るのか」という点です。最初はうまく動いていても、商品が変わり、担当が変わり、お客様の声が変われば、仕組みは少しずつずれていきます。そのずれに気づき、直し、また回す。これを社員とAIが一緒に続けられる状態を、TaskMate では「AI経営社長」と呼び、DXレベルの一番上の段に置いています。

「AI経営社長」は、運用・監視・改善が回っている状態

ここでいう自走とは、AIが勝手に何でも決めることではありません。次の3つを、社員とAIで回している状態です。

  • 運用:毎日の作業を、決めた手順どおりにAIと社員でこなす
  • 監視:おかしな結果や止まった処理に、早めに気づく
  • 改善:気づいたことをもとに、ルールや手順を直す

運用だけなら、ツールを入れれば始められます。難しいのは監視と改善です。ここが社長ひとりの頭の中にあると、社長が忙しい月に仕組みが止まります。自走とは、この「気づく・直す」までを会社の仕事として持っている状態だと考えてください。

6段目との違い

一つ手前の6段目「AIチーム社長」は、決めたルールに沿ってAIが複数のツールの更新まで進める状態です。7段目では、それに加えて、運用・監視・改善を社員とAIで回します。違いを見分けるには、「ルールが合わなくなったとき、社長以外の誰かが気づいて直せるか」を考えてみると分かりやすくなります。

人とAIの役割を、先に書き分ける

自走に近づく最初の作業は、役割を文字にしておくことです。たとえば、毎朝の受注データをまとめて担当者に配る仕事があるとします。

AIに任せること

  • データを集めて、決まった形にまとめる
  • いつもと違う数字や空欄に印をつける
  • 気になった点を担当者へ知らせる

人が持つこと

  • 印のついた所を見て、本当に問題かを判断する
  • お客様に関わる判断や、お金の判断をする
  • ルールそのものが今の仕事に合っているかを見直す

こう書き分けると、AIに任せる場面と人が決める場面がはっきりします。書き分けがないと、AIの出した結果を誰も確かめないまま、次の工程へ流れてしまいます。

ルールは「手順」より「判断のめやす」で書く

AIに渡すルールは、細かい手順を並べるより、判断のめやすを書くほうが長持ちします。手順は業務が少し変わるだけで古くなるからです。

  • 古くなりやすい書き方:「A列を見て、B列に転記し、C列で並べ替える」
  • 長持ちする書き方:「受注日が今日で、入金が未確認のものを、担当者ごとにまとめる。金額が空欄なら人に知らせる」

後者なら、表の形が変わっても目的が伝わります。社員が読んでも意味が分かるので、AIの動きがおかしいときに、どこを直せばよいかも見つけやすくなります。

見直しの場を、社員が回す

改善を社員の手に渡すには、ルールごとに「持ち主」を決めるのが近道です。持ち主とは、そのルールが今の仕事に合っているかを見張り、直す案を出す人です。受注のルールは受注担当、在庫のルールは仕入れ担当、というように、ふだんその仕事をしている人を選びます。

そのうえで、持ち主が集まる見直しの場を定期的に開きます。場で使う問いは、毎回同じにしておくと話が早く進みます。

  1. この期間に、AIが印をつけたのに問題がなかったものはあったか
  2. 逆に、印がつかなかったのに問題だったものはあったか
  3. 人が毎回同じ直しをしている所はないか
  4. 足すルール、削るルールは何か

1と2は、見張りが厳しすぎるか甘すぎるかを確かめる問いです。3は、AIに任せられる作業がまだ残っていないかを探す問いです。社長はこの場の結論を聞き、会社の方針とずれていないかだけを確かめます。

直したルールは、前と後を並べて残す

ルールを直したら、直す前の文と直した後の文、直した理由を一行ずつ並べて残します。たとえば「前:在庫が5個を切ったら知らせる」「後:在庫が5個を切るか、前の週より注文が急に増えたら知らせる」「理由:売れ始めた商品の印が遅れたため」という形です。これがあれば、持ち主が替わっても、なぜ今のルールになったのかを後から追えます。

自走している一日を、仮に描いてみる

イメージしやすいように、仮の場面で考えてみます。たとえば、ネットと店舗の両方で商品を売っている会社だとします。

朝、AIが前日の注文と在庫をまとめ、残りが少ない商品に印をつけて仕入れ担当へ届けます。担当者は印の付いた商品だけを見て、発注するかどうかを決めます。昼には、お問い合わせへの返信の下書きをAIが作り、社員が言葉を整えて送ります。夕方、AIがその日に「いつもと違ったこと」を短く書き出し、決めた場所に残します。

見直しの場では、その書き出しを持ち主が読み返します。「この商品は印が付くのが遅かった」「この質問は下書きがずれていた」と気づいたら、ルールを一行足します。次からは、AIは足されたルールで動きます。

この流れの中に、社長が毎日入る場面はありません。社長の仕事は、見直しの結論を聞き、方針とのずれを確かめることに移っていきます。

社員の気持ちと、崩れる兆し

社員にとっての変化を先に伝える

自走を目指すとき、見落としやすいのが社員の気持ちです。「AIに仕事を取られるのでは」と不安に思う人もいます。自走する会社で社員に求められるのは、作業の速さよりも「おかしいと気づく目」と「ルールを言葉にする力」です。この役割の変化を、始める前に社員へ伝えておきましょう。ルールを直す案を出した人をきちんと評価することも、仕組みを「自分たちのもの」にしていきます。

崩れかけている兆しを知っておく

自走に近づいたように見えても、次のような兆しがあれば、仕組みは崩れかけています。

  • 持ち主が異動や退職をしたのに、次の持ち主が決まっていない
  • AIの結果を確かめる人が、忙しい時期に見るのをやめている
  • 直したルールの記録が残らず、なぜ今の形なのか誰も説明できない
  • 便利なツールを次々に足して、どこで何が動いているか分からなくなっている

一つでも当てはまるなら、AIに任せる範囲を広げる前に、その手当てを先に済ませましょう。

今日からできること

毎日か毎週くり返している作業を一つ選び、紙に二列の表を書いてみてください。左に「AIに任せられそうなこと」、右に「人が判断すべきこと」です。右の列に並んだ判断ごとに、今それを誰がしているかを書き添えます。社長の名前ばかりが並ぶなら、そこが持ち主を決めるべき所です。迷う項目は「保留」の欄に置き、社内で話し合いましょう。

まとめ

  • AI経営社長は、運用・監視・改善を社員とAIで回している状態
  • 6段目との違いは、社長以外がルールのずれに気づいて直せるか
  • 役割を書き分け、ルールは判断のめやすで書く
  • ルールごとに持ち主を決め、同じ問いで見直しの場を回す
  • 社員に役割の変化を伝え、崩れかけている兆しを見逃さない

TaskMate では、面談で今のDXレベルを7段階で見える化し、今の段と目指す段を決めます。そのうえで月額の伴走で一段ずつ上げていくので、7段目は今すぐでなくても構いません。今どの段にいるかを知りたい方は、DXレベルを相談するからお声がけください。

関連するコラム

コラム一覧へ