AI活用DXレベル 5

複数のツールをまたいでAIに答えさせる

2026.10.19

社内資料をAIに読ませる段階まで進むと、次に欲しくなるのが「今の状況」を踏まえた答えです。手順書はめったに変わりませんが、お客様とのやり取りや予定、注文の状況は毎日動いています。この動いている情報を、別々のツールからまたいでAIが読めるようになると、答えの使い道が大きく広がります。この記事では、7段階のうちレベル5にあたる「AI参謀社長」について、その中身と進め方を考えます。

「資料を読む」から「今の状況を読む」へ

レベル4では、AIに社内資料を読ませて答えさせました。読ませるのは、あらかじめ用意した決まった資料です。

レベル5では、AIが読む先が変わります。顧客の記録、予定表、受注の一覧、社内の連絡のやり取りなど、日々書き換わっている複数のツールの情報を、AIがまたいで参照します。

たとえば、こんな問いに答えられるようになります。

  • 「明日訪問するお客様について、前回の打ち合わせの内容と、まだ対応していない依頼をまとめて」
  • 「今週が納期の注文のうち、材料の入荷がまだのものはどれ?」
  • 「先月から連絡が途絶えているお客様を挙げて、最後に何を話したかを教えて」

どれも、一つのツールだけでは答えられない問いです。人がやろうとすると、いくつもの画面を開いて見比べ、頭の中でつなぎ合わせる必要があります。AIがこの見比べを肩代わりすることで、社員は答えを見て次の行動を考えることに集中できます。

ツールが分かれていること自体は悪くない

情報が複数のツールに分かれていると聞くと、一つにまとめたほうがよいと考えるかもしれません。けれども、ツールが分かれていること自体は問題ではありません。

予定の管理には予定表が、お客様の管理には顧客管理の仕組みが、それぞれ使いやすいように作られています。無理に一つにまとめると、どれかの使い勝手が落ちることがあります。

大切なのは、ツールが分かれていても、必要なときに情報をまたいで見られることです。レベル5は、ツールを減らすのではなく、ツールの間をAIにつないでもらう段階だと考えてください。

またいで読ませる前に、整えておくこと

AIが複数のツールをまたいで正しく答えるには、それぞれのツールの中身が整っていることが前提になります。

同じものを同じ名前で呼ぶ

顧客管理では「株式会社」をつけて登録し、受注の一覧では略して書き、予定表では担当者のあだ名で書く。人ならなんとなく同じお客様だと分かりますが、AIは別のお客様だと受け取るかもしれません。お客様や商品、案件の呼び方を、ツールの間でそろえておきます。お客様ごとに番号を振り、どのツールでも同じ番号を書いておくと、取り違えが起きにくくなります。

それぞれのツールが最新に保たれている

一つのツールだけ更新が止まっていると、AIはその古い情報を混ぜて答えます。どのツールを、誰が、いつ更新するのかが決まっていることが欠かせません。レベル3で整えた見える化の習慣が、ここで効いてきます。

何がどのツールにあるかが分かっている

「お客様との約束事は顧客の記録に」「日程は予定表に」のように、情報の置き場所の分担が決まっていると、AIもどこを見ればよいか迷いません。同じ情報が複数のツールにばらばらに書かれていると、どれが正しいのか判断がつかなくなります。

つなぐ順番は「問い」から決める

つなげられるツールを片っ端からAIにつなぐのは、おすすめしません。つなぐ先が増えるほど、答えの確かめが難しくなり、情報の扱いの心配も増えるからです。

順番は、「AIに答えてほしい問い」から逆算して決めます。

  1. 社員が日々、複数の画面を見比べて答えを出している問いを書き出す
  2. その中から、答えが出ると一番助かる問いを一つ選ぶ
  3. その問いに答えるのに必要なツールを、最小限で特定する
  4. まずは二つのツールをつなぎ、答えが期待どおりかを確かめる
  5. 慣れてきたら、問いとつなぐツールを一つずつ増やす

問いが先に決まっていると、何のためにどのツールをつなぐのかがはっきりします。目的のないつなぎ込みは、使われない仕組みになりがちです。

ツールとAIは、どうやってつながるのか

技術的な仕組みを細かく知る必要はありませんが、大まかな形を知っておくと、外の人と相談するときに話が早くなります。

クラウドサービスの中には、ほかの仕組みと情報をやり取りするための窓口を用意しているものがあります。専門用語では「API(エーピーアイ)」と呼ばれます。この窓口があるツールなら、AIが必要なときに情報を読みに行く形でつなげられます。ただし、窓口があればすぐにつながるわけではありません。つなぐための設定が要りますし、契約の種類によっては窓口が使えないこともあります。

一方、古い業務ソフトや、紙に近い使い方をしている表などは、この窓口を持っていないことがあります。その場合は、次のような方法を検討します。

  • 定期的に情報をファイルに書き出し、AIが読める場所に置く
  • 社員のパソコンの中にある表を、インターネット上で共有する表計算ソフトに移す
  • そのツールでの管理をやめて、窓口を持つ仕組みに切り替える

どの方法がよいかは、そのツールの使われ方や、更新の頻度によって変わります。今使っているツールに窓口があるかどうかは、各サービスの案内ページやサポートで確かめられます。

またいだ答えを使うときの注意

複数のツールをまたいだ答えは便利な反面、一つの資料から答えるとき以上に、確かめ方を工夫する必要があります。

  • いつ時点の情報か:ツールによって更新のタイミングが違うことがあります。答えの元になった情報が、いつのものかを添えさせると安心です
  • 見てよい範囲:つなぐツールが増えると、範囲の決まりもツールの数だけ増えます。あるツールでは担当者しか見られない情報が、AIを通して別の社員への答えに混ざらないよう、ツールごとの決まりを一つずつ確かめます
  • 答えと行動を分ける:この段階のAIは、答えや提案を出すところまでです。答えをもとに予定を入れたり記録を書き換えたりするのは、人が行います。つなぐときも、AIに与える権限は「読むだけ」にしておきます。書き換えられる権限を渡さなければ、AIが誤って記録を書き換える道をふさげます

三つ目の線引きは、次のレベル6でAIに更新まで任せるときの土台になります。まずは「答えを出す」ところで、AIの答えの癖や間違えやすい点をつかんでおきましょう。

まとめ

  • レベル5は、日々動いている複数のツールの情報を、AIがまたいで読む段階
  • ツールを一つにまとめる必要はない。間をAIにつないでもらう
  • 呼び方をそろえ、各ツールを最新に保ち、置き場所の分担を決めておく
  • つなぐツールは「答えてほしい問い」から逆算し、二つから始める
  • いつ時点の情報か、見てよい範囲、答えと行動の線引きに気をつける

手がかりを得るには、現場で「答えを出すのに、二つ以上の画面を見比べている仕事はある?」と尋ねてみるのが早道です。挙がった仕事が、AIに横断させる最初の候補になります。

TaskMateでは、今の段と目指す段を決め、月額の伴走で一段ずつ上げていきます。レベル5を目指す段階では、どのツールをどうつなぐかの検討から作業まで一緒に行います。DXレベルを相談するから、今使っているツールの状況をお聞かせください。

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